鋳物豆知識・用語集
Appendix
Casting Glossary
鋳物用語集
この鋳物用語集は「鋳造用語辞典(日本鋳造工学会編)」を参考に独自に修正、加筆してまとめたものです。無断転載はお断りします。
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あ行
一般に鋳型の上部に設けた細い棒状の空げきで、
溶湯が鋳型を満たしたのち鋳型上面に上昇する部分のこと。
溶湯が鋳型を満たしたのち鋳型上面に上昇する部分のこと。
あらわれ「洗われ」
主として、湯口下・せき周辺に生じる金属の突出欠陥。
いがた「鋳型」
溶かした金属を注入して鋳物の形をつくるための型。その材料によって砂型・金型などがある。范(ハン)。鎔笵。
いぐるみ「鋳ぐるみ」
1 )同質又は他の材質のものを鋳物の中に入れて溶着させること。
2 )厚肉で冷却の遅い部分に生じる不良を防止するために、鋳型内にあらかじめ熱伝導度の大きいものを入れ鋳物を内部から冷却する方法。
2 )厚肉で冷却の遅い部分に生じる不良を防止するために、鋳型内にあらかじめ熱伝導度の大きいものを入れ鋳物を内部から冷却する方法。
いもの「鋳物」
鉄・青銅・アルミニウム・マグネシウム・アンチモン・錫・鉛などの金属を溶融し、鋳型に流し込んで作った器物。
いものし「鋳物師」
鋳物を造る人。いもじ。
いもじ「鋳物師」
(いものしの訳) 鋳物職人。宇津保吹上(上)「これは―の所。男ども集まり、たたら踏み、物のこ形鋳などす」
いものじゃく「鋳物尺」
鋳型の木型を製品の寸法よりやや大きく作るのに用いる物差し。
溶融した金属が冷却凝固する際の収縮をあらかじめ考慮に入れてある。鋳物差(ザシ)。延尺(ノベジヤク)。木型尺。
溶融した金属が冷却凝固する際の収縮をあらかじめ考慮に入れてある。鋳物差(ザシ)。延尺(ノベジヤク)。木型尺。
いものずな「鋳物砂」
鋳型を造るのに用いる砂。多く、砂岩の風化した天然砂を用いる。通気性・耐火性に富み成型しやすいことなどが必要。型砂。
いはだ「鋳肌」
鋳造したままの、鋳物の表面=黒皮
いばなし「鋳放し」
湯口・押湯などを除去し、鋳仕上げを終わった鋳物。
いれぼし「入れ干し」
注湯の際、溶湯が不足して完全な鋳物にならない欠陥。
いわく「鋳枠」
鋳型を作る場合に、周囲を囲って鋳型砂を保持する金属製・又は木製の枠。
インゴット「ingot」
溶解用又は加工用に定形に鋳込んだ金属塊=角丁
おんどこうばい「温度勾配」
鋳物や溶湯中の各位置間における単位長さあたりの温度差。(=単位 K/mm)
か行
かいざい「介在」
鋳物の母材に巻き込まれた、母材と区別のつく物質。
かいめんざい「界面剤」
溶湯が酸素と触れないようにするために溶湯表面に散布するもの。
かきがた「かき型」
鋳物の形が細長く、断面が一様なパイプ状のようなものを作る造型法。
その断面の半分に等しい形状を板に切り抜き、これをかき板として案内板に沿ってかきとって鋳型を作る方法。
その断面の半分に等しい形状を板に切り抜き、これをかき板として案内板に沿ってかきとって鋳型を作る方法。
かたばらし「型ばらし」
鋳込み後、鋳型をこわして鋳物に付着する砂を除去する作業。
かながた「金型」
1 )鍛造に使用される型。上下二型から成り、目的とする鍛造品を上下に二分割した反対の形(雌型)が彫刻されているもの。特殊鋼が用いられる。
2 )金属製の鋳型。鋳物の形状が精密な輪郭を要し、製作個数の多い場合に用いる。
2 )金属製の鋳型。鋳物の形状が精密な輪郭を要し、製作個数の多い場合に用いる。
カーボンシール「carbon seal」
黒鉛で空気に触れる面を覆い、酸化を防ぐ。
きがた「木型」
鋳型を作る際に用いる木製の模型。
現物型・部分型(鋳型が複雑な場合に木型を分解できるように作ったもの)・骨型・引き型・掻き型・掠(カス)り型・組合せ型などがある。
現物型・部分型(鋳型が複雑な場合に木型を分解できるように作ったもの)・骨型・引き型・掻き型・掠(カス)り型・組合せ型などがある。
きこう「気孔」
粒状物質の結合したものの中にある細かな空げき。
ぎゃくへんせき「逆偏析」
Fe-c合金などの鋳塊の凝固では通常、始めに凝固する鋳塊外周部の合金濃度が最初の溶湯組成よりも低くなり、
その後、凝固する部分でだんだんと高くなり、中心部や上部の最後に凝固する部分で、最も合金濃度や不純物が濃化するマクロ偏析を示す。
この凝固過程で最初に晶出した結晶の間げきに残存していた濃度の高い液層がその結晶の収縮により鋳塊表面へ流動するため、
鋳塊外周部の合金濃度が高くなり、中心部が低くなる偏析を生じることがある。この偏析のこと。
その後、凝固する部分でだんだんと高くなり、中心部や上部の最後に凝固する部分で、最も合金濃度や不純物が濃化するマクロ偏析を示す。
この凝固過程で最初に晶出した結晶の間げきに残存していた濃度の高い液層がその結晶の収縮により鋳塊表面へ流動するため、
鋳塊外周部の合金濃度が高くなり、中心部が低くなる偏析を生じることがある。この偏析のこと。
きりこ「切粉」
銅(金属)の削りかす。
けいどう「傾動」
(出湯時に)炉を傾けること。
けずりしろ「削り代」(とりしろ「取り代」)
けずりしろ「削り代」(とりしろ「取り代」)
けれん「ケレン」(跡)
中子を支えたり定位置に保持するために鋳型の空げき部に置かれる金具。
げんがた「現型」
品物と同じ形状の模型。
けんま「研磨」
品物の表面を磨く方法の総称。
こうかざい「硬化剤」
化学反応によって、硬化する粘結剤を硬化させる主役をなすものざく巣(多孔質巣)鋳物の最終凝固部に目の粗い部分が現れることがある。
そのできた巣のこと。
そのできた巣のこと。
さ行
さしこみ「差し込み」
鋳型の砂粒間げきに溶湯が入り込むために生じる鋳物表面の欠陥シェイクアウトマシン。振動台上で砂落としを行う機械。
しぼられ「絞られ」
注湯の加熱で熱型砂の膨張により、その一部が鋳肌面に押出されてできた鋳きず。
じゅうりょくへんせき「重力偏析」
凝固の際に晶出する層と液層との比重差によって生じる不均一。
比重が大きい成分は下部へ、小さい成分は上部へ集まる。
比重が大きい成分は下部へ、小さい成分は上部へ集まる。
しゅっとう「出湯」
溶解炉から湯を取り出すこと。
しょっとだま「ショット玉」
鋳鋼又は白銑の陽湯を水で急冷凝固して作った球状の銑粒。
しんしょくすくわれ「浸食すくわれ」
粗い不規則な層状に突き出した金属の塊。
すくわれ
鋳物の表面に現れる粗い不規則な板状に突き出した金属の塊。
すとれーな「ストレーナ」
かす取り・スラグ取りの目的の為に湯口付近に設置するフィルタ状のもの。
すながた「砂型」
砂で作られた鋳型(イガタ)。乾燥型と生型とがある。原料砂は山砂・合成砂・油砂・シャモットなど。
すなかみ「砂かみ」
鋳物表面の近くに介在する塊状・板状の砂の巻き込み。不良の一種。
ぞうけい「造型」
1 )形体をこしらえること。
2 )〔機〕鋳型を作ること。
2 )〔機〕鋳型を作ること。
ぞうけいき「造型機」
鋳型を作る機械。型込機。鋳型製造機。
た行
たいしょくせい「耐食性」
材料が腐食に耐える性質。
たいまもうせい「耐摩耗性」
固体表面部の摩擦による減量が小さいこと。
だっさんざい「脱酸剤」
溶湯を脱酸するために添加する物質。
銅および青銅系の脱酸剤としては主に15%りん銅地金が使用される。
銅および青銅系の脱酸剤としては主に15%りん銅地金が使用される。
だぼあな「ダボ穴」
模型分割部の相互の位置を決定するために、合わせ目に付ける突起物をダボというが、そのダボのはまる穴のことを言う。
だんぜき「段ぜき」
湯口の下部から上部の間に複数のせきを、鋳物部へ設けたもの。
ちくろ「築炉」
炉を作ること。
チッパ
鋳物のばりや、せきあとの除去用工具。
ちゅうぞう「鋳造」
金属を溶かし、鋳型に流しこんで、所要の形に造ること。
でんきでんどうせい「電気伝導性」
電気の伝わりやすさ。
でんきどう「電気銅」
電解精錬により製造した純銅。
でんきろ「電気炉」
電流によるジュール熱、アーク放電の発生する熱、または高周波による誘導電流などの発生する熱を利用する炉。
温度調節が容易、溶解損失が少ないなどの特徴がある。製鉄・製鋼・研磨材製造などに利用。
温度調節が容易、溶解損失が少ないなどの特徴がある。製鉄・製鋼・研磨材製造などに利用。
どうごうきん「銅合金」
銅を主成分とした合金の総称。真鍮(亜鉛との合金)・青銅(錫との合金)の類。
とかたざい「塗型剤」
黒鉛、ジルコンフラワおよびシリカフラワなどの耐火物の微粉末を補助粘結剤その他を含む水やアルコールなどの溶剤に分散させたもの。
とばされ「飛ばされ」
溶湯が鋳型内に流入して、鋳型の弱い部分に突きあたり、その部分がこわれて欠損して発生する欠陥。
とりべ「取鍋」
炉から出る溶湯を受け運搬や鋳込みを行う容器。
な行
なかご「中子」
鋳物中空部を作るために、主型と別に鋳型を作り、これを主型の中空部にはめこむ。この鋳型のこと。
ねつぼうちょう「熱膨張」
温度の上昇に伴って材料の体積および長さが増大する現象のこと粘結剤鋳型の空げき部を作るために、主にけい砂に配合して模型を写しとり、
その形状を保持させる役割を持つ。
その形状を保持させる役割を持つ。
ノロ(スラグ)
溶解に際して装入地金の酸化物と溶剤およびライニング材の反応によって生じるかす。
のろかみ
溶解炉のスラグ、又は溶湯処理のスラグが注湯時鋳型内に流入して巻き込まれ、これが凝固後も残った鋳造欠陥。
は行
はぐみ(型ずれ)
鋳物の分割面に生じる上下型のずれによる寸法不良・型合わせが不正確なため起こる。
はだあれ「肌あれ」
しわ状のくぼみが鋳物表面に広く分布している鋳肌不良。
パターンプレート「pattern plate」
分割された模型の片面だけを取り付けた模型定盤
はばき「幅木・巾木」
1 )室内の壁の最下部、床に接する所に張る、化粧用の横板。
2 )鋳造工程で、中子(ナカゴ)を鋳型に正確かつ確実に取り付けるために所要寸法より長くした部分。これを鋳型に設けた窪みに固着させる。
2 )鋳造工程で、中子(ナカゴ)を鋳型に正確かつ確実に取り付けるために所要寸法より長くした部分。これを鋳型に設けた窪みに固着させる。
ばり
溶湯が型の合わせ目や幅木の部分のすきまにはみ出したために製品にできる薄い板状の突出部。
ひきがた「引き型」
鋳型の表面がある線の軌跡になっている場合は、引き板を支柱を軸にして回転させながら造型する。手間がかかるので製作個数の少ないものに適す。
ひけす「ひけ巣」
鋳物の表面、又は内部に主として溶湯の凝固収縮により生じる粗い内壁を持つ空洞。
ひずみ
物体に荷重が加わると変形するが、その変形の程度のことを言う。
ピンホール「pin hole」
鋳物に生じる小さな気泡状の巣。
フォスフォライザ
小型のるつぼを逆さまにしたような形に鉄棒を取り付けたもの。
脱酸剤の添加時に使用する道具。
脱酸剤の添加時に使用する道具。
フラックス
溶解の際に酸化物の還元・有害ガスの除去・溶湯表面の酸化防止。
溶さい(=ノロ)の粘性低下などの目的に用いられる添加剤で軽合金の溶解に広く用いられている。
溶さい(=ノロ)の粘性低下などの目的に用いられる添加剤で軽合金の溶解に広く用いられている。
ブローホール「blow hole」
鋳物内部に生じる大小の気泡状の穴。
ほうかいせい「崩壊性」
鋳込み後、鋳型から鋳物を取り出す際の鋳型のこわれやすさ。
ほじろ「保持炉」
溶解炉で溶解した溶湯を一定の温度に保持し、鋳造機、又は鋳型に注湯するために設置される炉。
ホーンゲート「horn gate」
角笛形の湯口で鋳物底部に先網の部分が接続する。
ま行
まきこみ「巻き込み」
砂かみと同様。
マッチプレート「match plate」
見切り面によって上型・下型に分割された模型を上面・下面に取り付けた板で造型機による型込め作業に適用する。
まわしぜき「回しぜき」
溶湯が施回する円形空間で、その上部に湯道が接線に入り、その下部に接線の方向に入口とほぼ平行に出るせきを持つ。かす取り湯道。
みきり「見切り」
鋳型の分割部分で、模型が抜きやすい部分が選ばれる。
メッシュ「mesh」
砂粒の大きさを示す単位。
モジュラス
鋳物の凝固時間を簡単に求める手法に、鋳物の体積と冷却表面積との比を用いることが多い。この比のこと。
や行
ゆ「湯」
溶かした金属。
ゆあか「湯あか」
溶かした金属の表面に発生する酸化物やスラグ類。
ゆざかい「湯境」
鋳物の肉が一体とならず、肉厚の全体又は一部に境目が生じた欠陥。
ゆじわ「湯じわ」
象皮状の湯じわ…鋳物表面にぎざぎざのくぼみ、又はしわが網目状に表れる鋳肌不良。
すじ状の湯じわ…滑らかで光沢のある鋳物表面にうねったしわ状のくぼみのある鋳肌不良。
すじ状の湯じわ…滑らかで光沢のある鋳物表面にうねったしわ状のくぼみのある鋳肌不良。
ゆながれ「湯流れ」
溶湯の流動性。
ゆまわりふりょう「湯回り不良」
鋳物の角部が多少丸くなったり、鋳物の一部が欠けるなど不完全な形状となる欠陥。
ゆもれ「湯漏れ」
鋳込み中あるいは鋳込み直後、溶湯が鋳型の外に・又は主型・中子間の隙間に流出し鋳物の一部が欠け不完全な形になる欠陥。
通常、鋳物の上型面に出る。
通常、鋳物の上型面に出る。
ようかい「熔解・鎔解・溶解」
固体が、熱によってとけて液状となること。
ようかいろ「溶解炉・熔解炉」
金属を溶融する炉の総称。溶銑炉(キューポラ)・坩堝(ルツボ)炉・回転炉・反射炉・平炉・転炉・電気炉などがある。
ら行
ライニング
溶解炉・加熱炉・とりべなどの内面を耐火物で被覆すること。
りけいざい「離型剤」
砂型を造型する際、模型と鋳型砂の付着を防止するために模型に塗る。
リードタイム
発注から納品までの時間。
りゅうどうせい「流動性」
溶湯の鋳型内における流れやすさ。
るつぼろ「坩堝炉」
坩堝を炉中に置き、加熱してその中の金属を溶解する炉。
中の材料が直接炎に接触しないため化学変化を起さないから、成分の割合を貴ぶ合金の溶融に用いる。
中の材料が直接炎に接触しないため化学変化を起さないから、成分の割合を貴ぶ合金の溶融に用いる。
レジンサンド
砂粒をフェノール樹脂のフィルムで被覆したシェルモールド用の鋳型砂。
熱を加えることで硬化する。
熱を加えることで硬化する。
ろへき「炉壁」
炉の壁。